ゆるいつながり

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”弱いつながり”について

弱いつながり

東浩紀「弱いつながり」を読んだのは昨年の夏頃。

この本に書かれていることが今回のイベントの本来主旨を代弁したものであり、引いては僕が感じている問題意識に大いに重なっている。

そのため、今一度この本の主旨について説明しておこう。

 

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東浩紀 『弱いつながり 検索ワードを探す旅』

 

おおざっぱに解説

僕たちの生活している現代は、ネット社会が成熟し、知りたいことは自由に調べられるし知らない人とも簡単に繋がれるようになったかに見える。

しかし、何でも手にできる時代かと思いきや、実は日頃私たちが調べているのは「自分の調べたいもの」だし、SNSは知らない人との関係を結ぶものというよりは身近な人との結束をより強めるために使われる方が多いという現実が横たわっている。

会社や地域での人間関係や趣味といった各々の個人が所属するコミュニティを”強いつながり”とした上でネット社会の発展は思わぬところで”強いつながり”をより強くする働きをしているのだと著者は指摘する。 

 

そうした統制から抜け出すには”弱いつながり”(つまり日々所属しているコミュニティほど関係の深くないもの、引いては偶然性の高いもの)を取り入れることが肝要だという。

 

そして、”弱いつながり”から得た新たな”検索ワード”に対する欲求を喚起することこそ重要であると唱えている。

また、環境を意図的に変えることで新たな”検索ワード”が喚起され、計画性にノイズを入れることができる。

で、環境を変える手段として有効なのが”観光”なのだと著者は言う。

 

だからネットだけじゃなくて旅しようぜ!ってな論旨になっていて、付け加えて今は旅することは怖くないんだよってなことが海外の事例を交えて語られている。

 

”案ずるより産むが易し”ということと合わせて”案ずるほど世界は見慣れないものばかりじゃないからドンドン旅しちゃえ!”というメッセージが込められているという内容だった。

 

感想

まず導入部分で課題をはっきり認識させられたから最後までサーっと読むことができた。

言われてみればSNSも地元の同級生の溜まり場みたいになってるし、検索窓に入れる言葉も自分なのだから何を入れるかは自分が経験したことでしかないのだ。

なんとな〜くわかっちゃいたけど文章になって初めて体系的に理解できる、という読書体験は社会学書を読むことの醍醐味だと改めて思う。

最初にハッとさせられたから後は素直に読めました。 

 

改めて整理すると

 ネットにはノイズ(偶然性の高いもの)がない

   →リアルでノイズを取り入れる

    →リアルの計画性から逸脱する

 

ネットが発達し、強いつながりがより強固になったことで人の生活における計画性が高まったということは、翻って人の生き方がより環境から”予測可能”なものになってしまっているということだと言える。

だから何の気なしに生きていると”かけがえのない人生”が凡百なものになってしまうよという警告が本書の論旨だ。

 

「不可能性の時代」からの脱却

 

『不可能性の時代』

 

僕は大学生の頃に大澤真幸の「不可能性の時代」を読み、これから何に希望を見いだせばいいのかわからなくなった。

 

時は2010年…リーマンショックに世間が揺るいだ時期と重なったため余計に絶望感を感じたのをハッキリと覚えている。

でも経済成長が止まり、終身雇用のモデルも破綻したことの不安感の本質は、言い換えれば計画性がなくなったことによる不安ということではないか。

 

本書は”予測可能”な事柄に対して批判的な立場を取っている。

むしろ積極的に環境を変え、新たな検索ワードと出会い、弱いきずながもたらす偶然性によって生きる方向性を”予測可能”な形から変化させることを推奨している。

少々拡大解釈かもしれないが、この本は停滞する今の日本、もっと言えば希望を見いだせない僕たちみたいな”さとり世代”にひとつの生き方のモデルを提示してくれていると思う。

 

 

著者は本書が「生き方の指南書」的な仕上がりになったことを皮肉っぽく書いていたが、さとり世代の僕にとっては少しばかり背中を押される内容だった。

 

新たな検索ワードと出会えるイベントにしたい

結局のところ、僕がこの本をヒントに実現したいことは

  1. 僕自身がやりたいこととしてはイベントやそれに付随する活動を通じて「弱いつながり」を作っていきたい、ということ
  2. この本に書かれている”旅”にあたるものをイベントという形で参加してくれる人に提供したい、ということ

である。

 

会社や学校、住んでいる地域のように普段、自分たちが当たり前に過ごす場所から少し離れたところで新たな出会いをそれぞれの人が果たす…これがイベントを行う上での意義だと思っています。

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